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孫子のビジネス的解釈(2)

【出典】
読み下し文と口語訳は、岩波文庫 金谷治訳注の新訂 孫子

解釈についての著作権は鴈野 聡(がんのさとし)に属します。
(※読み下し文と口語訳で入力ミス等があれば、随時ご指摘下さい。)


計篇 二

将 吾が計を聴くときは、これを用うれば必ず勝つ、これを留めん。将 将 吾が計を聴かざるときは、これを用うれば必ず敗る、これを去らん。計、利として以て聴かるれば、乃わちこれが勢を為して、以て其の外を佐く。勢とは利に因りて権を制するなり。

将軍が私の〔上にのべた五事七計の〕はかりごとに従うばあいには、彼を用いたならきっと勝つであろうから留任させる。将軍がわたしのはかりごとに従わないばあいには、彼を用いたならきっと負けるであろうから辞めさせる。はかりごとの有利なことが分かって従われたならば、〔出陣前の内謀がそれで整ったわけであるから、〕そこで勢ということを助けとして〔出陣後の〕外謀とする。勢とは、有利な情況〔を見抜いてそれ〕にもとづいてその場に適した臨機応変の処置をとることである。


これをビジネス的に解釈すると、

「業務執行責任者の心得」みたいなものです。

前回の解釈の通り、新規ビジネスを立ち上げる際に計画はとても重要です。当然、新規ビジネスの執行責任者は、そのプランに忠実に従う人を選ばなければなりません。当初からそのプランに従えない人を責任者に据えることなど、あり得ない訳です。

逆に、プランが実行された場合、状況を見て臨機応変な対応が必要となってきます。このとき責任者は自らのリスクを冒してでも、状況に適応しなければ、目的は達成できません。

ところが現実的には計画だけ決まっており、「お前、やれ」みたいなことが頻繁に起こります。すると業務執行責任者のモチベーションは下がり、最後には「オレは言われたとおりに淡々と業務をこなすだけ」と、自ら判断しなくなる場合もあります。

逆に「こんなプランではダメだ」と、オレ流を貫こうとする業務執行責任者もいます。もちろんそれで今まで実績があればいいのでしょうが、これでは経営者や出資者の信頼を勝ち得ることは出来ません。もちろん、計画に不備があればそれを指摘する必要はありますが、オレ流を貫こうとする人に限って計画段階で非協力的だったりする場合もあります。

これら「よくある失敗」を考えると「新規ビジネスの目的を明確にする」という大前提の上で、経営者、計画立案者、業務執行責任者の心がけることが見えてきます。

経営者が心がけることは、
(1)業務執行責任者を計画立案に関与させる
(2)計画立案者と業務執行責任者の役割・権限・責任を明確にする
(3)新規ビジネスの「撤退ルール」を明確にする

計画立案者が心がけることは、
(1)計画段階から「現場の声」を拾い上げる
(2)新規ビジネスが「現場」にもたらすメリットを明確にする
(3)計画に問題がある場合、責任を取ることを表明する

業務執行責任者が心がけることは、
(1)計画の実行可能性を確認した上で、業務執行責任者を引き受ける
(2)達成基準と(計画に問題のある場合の)責任の所在を明確にする
(3)計画の中で変更出来る部分と変更できない部分を明確にする

【結論】
 新規ビジネスの立ち上げには、計画サイドと実施サイドの協力が不可欠。
また「撤退ルール」を織り込むことも重要。

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